◇開業医50人のグループで予算管理、地域10万人の健康管理を担う。 ◇医療予算を約10年で倍増、国民の満足度も上がった。 近年、大きな改革を遂げて劇的に改善したといわれる英国の医療。日本が学ぶべきことは何か。(編集委員 南 砂) 先ごろ開かれた第13回厚生政策セミナー(国立社会保障・人口問題研究所主催)で基調講演をしたジュリアン・ルグラン・ロンドン大学教授(公共政策)は、英国医療改革の鍵となった「準市場」の概念を提唱した人物。同教授は、市場原理が働きにくい医療政策の運営には4つのモデルがあるとして、〈1〉専門家の裁量に任せる〈2〉専門家を管理統制する〈3〉消費者の声を尊重する〈4〉選択、競争を組み合わせた「準市場」を導入する、の4型を列挙。最も短所を抑え得る〈4〉で、英国は成功したと語った。 英国の歩み自体が4つのモデルの実験だった。NHS(国民医療サービス)と呼ばれる英国医療制度は完全国