80代前半の男性患者。自宅で転倒し、右大腿(だいたい)骨を骨折して入院した。手術をするか、しないかを、本人と家族で話し合い、手術をすることに決めた。しかし、その直後、脱水や腎不全を起こし、全身状態が悪くなってしまった。血圧も低下していたため、ひとまず右大腿骨の手術は延期となった。 その後、回復したので、手術を行うことになった。手術を終えた後、入院直後のように全身状態の悪化も懸念されたため、医師は家族にDNAR(Do Not Attempt Resuscitation:蘇生不要)の話をして、家族からその承諾を得た。手術は無事に行われた。 手術後、一時的に回復傾向はみられたものの、徐々に衰弱していった。食事があまりとれず、血圧は低く、尿量も少ない状況であった。「術後の回復を目指しているのに、この状態はよくない」と考えた担当の看護師が、医師の指示を確認しようとして、同僚の看護師に聞くと、同僚は「