東京都の小笠原諸島や伊豆諸島の海域で、中国漁船によるサンゴの密漁が急増している。狙われているのは、両海域に生息する希少な「宝石サンゴ」。価格高騰や中国国内の規制強化が背景にあるとみられ、島民からは不安の声が上がっている。取り締まりに当たる海上保安庁と水産庁は、押し寄せる大量の船団への対応に苦慮している状態だ。 (小松田健一) 「彼らは採るだけ採っていってしまう。荒らされた場所は二度と元に戻らない」。漁師で小笠原村議会議長の佐々木幸美さん(71)は憤る。サンゴは成長に長い時間がかかる。「慎重に漁場管理をして守ってきたのに、中国漁船は根こそぎ採取してしまう」 海保によると、小笠原諸島近海で、中国船籍とみられる漁船の出没が確認されるようになったのは九月に入ってから。日を追うごとに増え、十月二十三日には百十三隻に膨れ上がった。中国国旗を掲げる漁船もあった。新たに、小笠原諸島から北に約五百キロ離れた