ベストセラー「ローマ人の物語」のタネ本だという噂だが、それはウソ。もし本当なら、塩野七生はもっと面白い本を書いただろうから。 モンタネッリの「ローマの歴史」はそれくらい抜群の面白さで、文字どおりページ・ターナーやね。一方、これをネタにした類書は、水で割ったワインのように薄い。そういう意味で、本書は、ムダを削ぎ落としたモルツ100%の極上のウィスキーになる。 著者はローマ在住のジャーナリスト。歴史学者の「解釈」を鵜呑みにせず、一次資料にあたるところは、"小説家"塩野七生と同じ。自分の判断を信じ、迷ったらより面白いほうに倒す。「人物」に焦点をあて、キャラ化することで人間くさい感情の動きを再現し、判断の理由を生々しく描写する。すべての歴史は(それぞれの時代にとっての)現代史なのだから、過去の行動は原因と結果によって律せられているはず。歴史とは一連のストーリー付けされた因果なのだ。その真偽はともか
旅行作家の下川さんと久しぶりに築地で飲んだ。 下川さんは、今やバックパッカーたちの教祖的存在といわれ、「12万円で世界を歩く」(朝日新聞社)でデビュー以来、アジアと旅に関して多数の著書がある。 「12万円で世界を歩く」というのは、1980年後半、当時の週刊朝日がグラビア特集で組んでいた連載企画で、旅費、生活費として12万円だけ渡され、実際にその予算で世界を旅して、その一部始終を紀行文にまとめたものだ。「もともと僕のほうから持ち込んだ企画だから、文句はいえないんだけれど、編集部は取材費として本当に12万円しかくれないんだよね」と下川さんが笑いながらぼやいていたことを思い出す。 下川さんの本を久しぶりに本棚から取り出して読み返してみた。この手のルポルタージュは、10年も経つと、内容がセピア色になってしまって、とても 読めたものではないのだが、驚いたことに16年前に出版された、本の内容には古びた
いつのまにか1000エントリ超えてたので、ここらで100に絞ってみる。 このblogで「スゴ本」認定されたもの、企画「この○○がスゴい」で挙げられたものを、100にまとめてご紹介。順序適当、偏見なし、ビジネス、サイエンス、エロマンガ。ブンガク、ビジュアル、なんでもアリ、啓蒙、アダルト、劇薬なんでもござれ。「ノンフィクション」、「フィクション」、そして「劇薬系・成人指定」の三本立てでご紹介。番号は便宜上つけたものなので、ランキングにあらず。 こんなにスゴい本に出合えたのは、すべてあなたのおかげ。いい本はたくさんあるのだが、全部読んでるヒマもないし、探している時間も足りない。だからわたしは、スゴい本を読んでいる「あなた」を探す。あるいはこのblogにやってきた「あなた」の言を待つ。そうしたツッコミやアドバイスをいただき、とても感謝しています。 この100リスト全て鉄板モノだが、「それをスゴ本と
「生活大国」北欧に学ぶ、豊かな暮らしの本質とは 「北欧」と聞いて、思い浮かべるイメージはどういったものがあるでしょうか? 人気の北欧デザイン、森と湖に囲まれた自然、あるいは、長く暗い冬の厳しさでしょうか? それとも、高福祉社会やノーマライゼーション? あるいは、IT先進国、オンブズマン制度に代表される透明で公正な社会、 エコな暮らしと環境問題、学力世界一を誇るフィンランドの教育制度……様々なイメージがあるかと思います。 しかし、これらに共通するのは、人間らしい生活を送るという人々の意識の高さと、それを支える社会の整備。 生活への高い関心が、時に制度に、時にデザインや生き方にと、様々なところで根付いているのです。 本書は、社会、政治経済、福祉、教育、環境、文化という6章にわけて、北欧の社会を特徴づけるキーワードを紹介。 「生活の質」を向上させるために積み重ねられてきた、北欧社会の歩みを知り、
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