兵庫県の丹波市と篠山市の境にある「金山(きんざん)」(標高540メートル)山頂付近に、2つの岩の間に巨岩が橋のように架かっている名所がある。その名も「鬼の架け橋」で、地元では文字通り、鬼が架けたという民話が伝わっている。 民話「里に下りるため鬼が架けた」 兵庫丹波の森協会発行の「丹波(篠山市・丹波市)のむかしばなし第十集」の「鐘が坂の鬼のかけ橋」によると、昔、丹波の里に力の強い鬼が住んでおり、大空を駆け巡って風雨を起こしたりする不思議な力を持っていたという。 ある時、天上で遊んでいた天女の仲間に入ろうとした鬼だったが、怖がった天女に逃げられた。怒った鬼は宝物を奪い、天女もろとも、どこかに隠すことにした。ふもとの里に倉を見つけたが、下りるための橋がない。そこで金山に転がっている巨岩を組み合わせて橋を架け、里に下りたという。 こののち、里の人が、鬼が嫌がるという鐘の音を鳴らし、鬼を追い払った―