京都市伏見区の「京都アニメーション」(京アニ)第1スタジオが放火され、男女35人が死亡、34人が重軽傷を負った事件で、遺族や負傷者の金銭的な被害回復に向けた動きが始まっている。同社に寄せられた多額の支援金は、異例の税制優遇措置の下で被害者に全額が分配されると決まった。今後、労災関連の手続きも進む。だが、被害者が多数に上ることに加え、重い後遺症への対処も予想される。これらの対応では不十分と見る向きは強い。 ◇25億円超 20日時点で京アニの専用口座に集まった支援金は約25億8590万円に上り、同日、京都府へ移された。府が募る義援金も2億円超に達した。10月末以降、支援金と義援金の全額は府の配分委員会を通じて被害者に非課税扱いで分配される。 だが、同社の代理人弁護士は、死傷者らの被害規模総額は労災補償などを除いて「少なくとも40億円」と見積もる。交通事故の損害賠償額算定基準に照らして算出したと