2020年3月13日のブックマーク (1件)

  • 『未来社刊 丸山 眞男著 『現代政治の思想と行動』pp.19‐21より抜粋引用』

    政治質的に非道徳的なブルータルなものだという考えがドイツ人の中に潜んでいることをトーマス・マンが指摘しているが、こういうつきつめた認識は日人には出来ない。ここには真理と正義に飽くまで忠実な理想主義的政治家が乏しいと同時に、チェザーレ・ボルジャの不敵さもまた見られない。慎ましやかな内面性もなければ、むき出しの権力性もない。すべて騒々しいが、同時にすべてが小心翼々としている。 この意味に於いて、東条英機氏は日政治のシンボルと言い得る。そうしてかくの如き権力のいわば矮小化は政治的権力にとどまらず、凡そ国家を背景とした一切の権力的支配を特質づけている。例えば今次大戦に於ける俘虜虐待問題を見よう(戦場に於ける残虐行為についてはやや別の問題として、後に触れる)。収容所に於ける俘虜殴打等に関する裁判報告を読んで奇妙に思うのは、被告が殆ど異口同音に、収容所の施設改善につとめた事を力説しているこ

    『未来社刊 丸山 眞男著 『現代政治の思想と行動』pp.19‐21より抜粋引用』