大学の研究成果を特許化して企業に技術の橋渡しをする技術移転機関(TLO)が、転機を迎えている。特許の使用許可を企業に与える見返りに得るライセンス収入が低迷。国も支援を絞り込んだため、採算が合わなくなって事業清算や再編に踏み切る動きが出始めた。 ■精算・再編相次ぐ 「では、契約に際して重要事項を説明しますね」。東京・品川にある機械メーカーの応接室。8月初め、東急建設OBの鷹巣征行さん(67)は、大学発の特許をこのメーカーにライセンスするための最終交渉に臨んでいた。 売り込みを図るのは、東京工業大が2月に特許登録した「匂(にお)い調合装置」。匂いのパターンを機械に認識させ、複数の香料を混ぜて注文通りの香りを再現する。「映画館や劇場で効果的な匂いを演出できる」。鷹巣さんはそう太鼓判を押す。 鷹巣さんは「特許流通アドバイザー」の肩書を持つ。大学特許の産業界への移転を手助けするため、国の支援事