井上ひさし作品の大きな魅力のひとつは、主人公たちが未来へ向かう姿です。 政府に愛想をつかした東北の一農村の独立運動を描いた「吉里吉里人」、子どもたちの漂流記「ひょっこりひょうたん島」(山元護久との共作)。 過酷な状況にありながら、笑いを忘れず、仲間と共に理想郷(ユートピア)を追い求める主人公たちの姿は、 現代の私たちに、困難に立ち向かうための希望を与えてくれます。 没後3年に開催する本展では、第1部で作家となるまでの歩みをたどり、 第2部では21世紀へのメッセージを、「吉里吉里人」「きらめく星座」などの作品に読み解きます。 第3部では、書物に遺された過去を物語に再生し、 同時代、そして未来の人たちへ手渡す「中継走者」としての創作活動を、蔵書や創作メモ、愛用の文具などで展覧します。