この夏、逗子海水浴場(逗子市)の“象徴”と呼ばれた施設が浜辺を去っていった。 6日。数日前までの熱狂がうそのようにがらんとした海岸では、「音霊(おとだま)」の解体作業が行われていた。逗子出身の音楽ユニット「キマグレン」の2人が経営する海の家兼ライブハウス。2005年夏のオープン以来、毎年約4万人の入場者を数える人気スポットだった。 その音霊が突然、今夏限りの閉鎖を発表したのはシーズン終盤の8月23日。「こんな頭ごなしのやり方では、決して良い方向にいかない。閉鎖は行政へのメッセージですよ」。店長の清水良太さん(25)は苦々しい表情を浮かべていた。 ■「安全安心のため」 「頭ごなし」とは、平井竜一市長が強く打ち出す「音楽禁止」を含めた条例改正の動きだ。7月に発生した客同士の殺傷事件が契機となり、市は警察など関係機関と対策協議会を設置。来夏に向け「あり方を根本的に見直す」(平井市長)検討