少し前のことだが、米国の某ITベンダーのCEO(最高経営責任者)と会った時、そのCEOが「日本企業と長く付き合って、最近ようやく日本市場の特殊性の本質が分かってきたよ」と話し始めた。私は日本のユーザー企業のIT部門とITベンダーをひとくくりにして“ITムラ社会”と呼んでいる。そのITムラ社会について、米国ITベンダーのCEOは何を理解したのか。興味津々だった。 私が身を乗り出したので、「おっ、食い付いてきたな」とでも思ったのであろう。そのCEOは嬉しそうに、日本市場の特殊性についての自身のインサイト(洞察)を披露し始めた。「非常に興味深いことに、日本のユーザー企業もSIer(彼はこの和製英語を知っていた!)も、担当者同士は対立を嫌がり、最初からハーモニーを求める。利害が対立するはずの契約交渉の場でもそうだから、これは驚くべきことだ」。 そう、まさにハーモニーだ。それぞれの担当者は自社の利益
![米国ベンダーのCEOがやっと分かった日本の“ITムラ社会”の本質](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/31949eda76f1a36a7314deb752f71745bb40b99f/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fxtech.nikkei.com%2Fit%2Fatcl%2Fcolumn%2F14%2F463805%2F091500103%2Ftopm.jpg%3F20220512)