このハエの学名はGoniurellia tridensで、ミバエ科の一種である。透けた二枚の翅に、どう見てもアリにしか見えない昆虫の姿がプリントされている。アリの6本の足や2本の触角、頭部、胸部、先細の腹部まではっきりわかる。 「まったく非のうちどころがない仕上がりです。参りました。」というのは、このハエを初めて発見したUAE(アラブ首長国連邦)ザイード大学のハエの専門家、ブリジット・ハワース博士だ。 このハエは5000種類ほどいるミバエ科の仲間で、カラフルな模様をもつことから、ピーコックフライとも呼ばれている。UAEだけでも、シンプルな模様のものから、このG. tridensのように精密な模様をもつものまで27種類のミバエが存在するという。 ハワース博士は、オーマン北部のセイヨウキョウチクトウの藪の中で、このピーコックフライを初めて目撃した。「木の幹を見ているとき、なにか昆虫が這いまわっ
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