放射線を照射して新品種を作ることが「放射線育種」とよばれているが、この言葉自体がイデオロギーの産物と言わなければならない。いつの間にか、放射線を当てることを「品種改良」と考えるようになってしまう。しかし、遺伝子操作は品種改良技術ではない。 放射線育種による品種は1960年代からひっそり作られており、日本では500を超える品種がすでに作られている。だから放射線育種は重要な品種改良技術だと錯覚してしまう人がいる。だけど、待った! 放射線を当てて遺伝子を破壊することで、確かに生物は以前とは異なる性格を持つようになる。たとえばカドミウムを吸収しにくくなったり、低タンパクになったりする。低タンパクのお米は腎臓病の人にとってはいい。となると、放射線育種に反対するということは腎臓病の人たちに必要なお米を奪うつもりなのか、と詰問されるかもしれない。しかし、ここで冷静に考えてみるべきだ。果たして低タンパクの