福島第一原発事故の賠償問題の審議が、国会でも始まった。政府の決めた「賠償スキーム」は東京電力を救済して株主を守る一方、枝野幸男官房長官が銀行に債権放棄を求めるなど支離滅裂だが、実は根本問題がまだはっきりしていない。それは東電が本当に100%賠償責任を負うべきなのかという問題だ。 原発事故は最悪の場合、数万人が死亡する可能性があり、民間企業ではリスクを負いきれないので、電力会社の無過失責任に上限を設け、それ以上は政府が賠償する国が多い。 ところが日本の原子力損害賠償法では、政府が払う保険金の限度額が1200億円で、それ以上については第3条に「その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によって生じたものであるときは、この限りでない」という但し書きがある。この「天災地変」をどう考えるかが焦点である。 政府に過失責任はないのか 今のところ、政府は「同じ地震に遭った福島第二原発などでは事故は起こら