三陸海岸の中程に位置する陸前高田市気仙町。山が海のすぐ近くにまでせまり、低いながらもうっそうした森に覆われた岬で隔てられる小さな湾が連続して複雑に入り組んだ海岸線を成す「リアス式海岸」地帯だ。南からの黒潮と北からの親潮が出会う豊かな漁場でもある。湾内では、わかめや牡蠣、ほや、ホタテなどの養殖も行われる。 気仙は昔から、そして日本全国で腕のよさを発揮する職人集団「気仙大工」を多く輩出した地として知られる。奥州藤原氏が平泉に金色堂を築いた時に海を渡って京都から来た職人たちの影響を受けているとも言われ、社寺でしか見られないような堂宮の技術を民家にも惜しげなく用いるくらい高い技術をもつことで有名だ。 地元に大工の需要が少ないので、出稼ぎが中心になる。技術の高さで、出稼ぎ先地元の大工に勝たなければ生き残れないため、切磋琢磨し続けてきた結果、高い技術が維持されてきたのだという。気仙地方をから離れ、旧