画期的な発明やこれまでの常識を覆す様な技術革新というのは、ちょっとした偶然の出来事やたわいもない会話などがトリガーとなって生まれることが多いものだ。Solaris 10の画期的な新ファイルシステム「ZFS」の開発プロジェクトも、些細な出来事がきっかけで始まったと言えよう。 1996年、Solaris開発チームがカリフォルニア州メンロパークの新しい拠点に引っ越したばかりのある日のことである。ハードディスクをアップグレードした途端、いきなりサーバがダウンしてしまった。 「突然、チームのホームディレクトリにアクセスできなくなっちゃって、電子メールも予定表のデータも、全て消えてしまったんだ。」とジェフ・ボンウィックは回想を始める。 ジェフは現在、サンでDistinguished Engineer(サンの開発技術者の最高の位)の肩書を持ち、ストレージ部門のCTO(最高技術責任者)を務める人物である。