海外レポート「アルゼンチン─「成長の破綻」から学べるもの─」 2003年 1月16日 日本銀行情報サービス局 (日本銀行から) 広報誌『にちぎんクオータリー2002年冬季号(12月25日発刊) 』に掲載されました。 服部正純(日本銀行国際局副調査役) 井出穣治(日本銀行国際局) はじめに アルゼンチンは未曾有の経済危機に直面しています。昨年12月以来、公的対外債務のほとんどが支払停止に陥っており、最近では、国際機関向けの債務についても、一部支払不能に陥りました。金融システムは事実上麻痺した状態が続き、インフレが進行するなど、経済は深刻な状況です。こうした同国の経済危機が、国際金融市場の混乱の火種となりかねない状況が続いています。 「成長の破綻」 ここでアルゼンチンの歴史を溯ってみましょう。 20世紀の初頭、アルゼンチンは、世界の経済大国の 1つでした。国民の経済的豊かさを一人当たり実