「この間、すごく怖いことがあったんだよ」 とセキゼキさん(仮名)が話し始めました。 「新宿で、気配がめちゃめちゃに異常なおばあさんがいてさ、腕には注射の痕がびっしり並んでいて、紫のワンピース着てて……そのひとのすぐ近くを通ったら、そのおばあさんがこっちを見たんだよ! おれの動きを目で追って、腕を掴まれそうになったの!! 怖かったよう」 「うっ。確かにそれは怖い。……でもさあ、なんでそんなひとのすぐ近くを通ったの? 遠巻きにして近寄らないようにするのが一般的なやり方だと思うんだけど。だからこそ、珍しく近くを通った君の動きを、おばあさんは目で追ったわけでしょ」 「何言ってんだよ! おばあさんを見かけたからって、そこで急にコースを変えて、遠回りにするの? そんなこと出来るわけないだろ!」 セキゼキさんが驚いたような顔でそう言い、その瞬間、私はおのれを恥じました。彼の言う通りです。異様な風体のおば
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