落ちて死ぬ寸前の人が見るスローモーション、年齢と共に加速していく歳月の経過 ― “記憶の密度”という説明 高いところから墜落している最中の人のように、はっきりと意識がある状態で今まさに生を終えようとしている人は、その一瞬を何時間にも感じるという話がある。米国の作家アンブローズ・ビアスの「アウル・クリーク鉄橋での出来事」という短編小説では、首に縄をかけられた主人公が鉄橋から川に投げ落とされ、ほぼ一瞬にして絶命する。しかし、主人公にとって、その一瞬は一昼夜分に匹敵する。 高いところから墜落したり、事故で跳ね飛ばされたりしても、必ずしも死ぬとは限らない。「現にこうして生きているぞ」という声が聞こえてきそうだ(筆者も一度や二度ならずそういう体験をしたことがある)。そういう体験をしたことのあるあなたも、その一瞬をやはりずいぶん長い時間のように感じただろうか? 空中からの眺めはスローモーション映像のよ