(※このブログ記事は前編/後編からなっています。前編はこちら。) 先日公開した前編では、「新型うつ」という言葉について、SYNODOSに掲載されていた井出草平さんによる「新型うつ」批判をおおむね支持する見解を述べた。 ここからは、その「新型うつ」批判で語られたところの、「新型うつ」を取り囲む精神科医や精神医学に関する実情について、私が実地で見聞してきた事を補足する。そのうえで、一精神科医としてDSMやICDといった現代の診断基準を使いながら臨床上どのように行動し、また臨床外においてどのように考えるのが望ましいのか、私個人のオピニオンを述べてみる。 DSMやICDの内側も外側も知っておく必要がある 井出さんは、この「新型うつ」を巡る問題の一端として、「時代遅れの、勉強をさぼった精神科医が「新型うつ」を語っている」といったニュアンスのことを述べている。その対照として、現代的なDSMやICDを「