ファクトが示す日本医療の「不都合な真実」とは。/文・森田洋之(医師・医療経済ジャーナリスト) <summary> ▶︎日本は世界一の病床保有国であり、豊かな医療資源がある。にもかかわらず「医療崩壊」が叫ばれている ▶︎日本の医療制度に欠けているのは病床数でも、医師数でもない。臨機応変に対応する「機動力」だ ▶︎日本は、平時では民間の競争原理のおかげで世界一の医療クオリティを実現できていた。しかし今回、その競争原理が災いして機動力を欠いてしまった医療崩壊の裏にあるキーワードここ最近、テレビやネットニュースで「医療崩壊」という文字を見ない日がない。旭川の医療崩壊、大阪の医療崩壊、名古屋の医療崩壊……。医療の逼迫を防ぐため、はたまた最前線の現場で働いている医療従事者の負担を減らすため、「飲食店営業時間を短縮」「Go To トラベルは中止」「国民は外食や長距離移動を自粛しよう」。そんな意見が巷には