今年、新作『アンダーワールドUSA』(文藝春秋/上下2巻)が刊行されたジェイムズ・エルロイですが、思えば前の長篇『アメリカン・デス・トリップ』(文春文庫/上下2巻)が邦訳刊行されたのは2001年の9.11の直前のこと。いまの学生さんたちが小学校に入ったかどうかの頃でした。 となれば「新作でエルロイという作家を認識したんだけど、何をどういう順番で読めばいいの?」というかたも少なくないと思います。まずは『アンダーワールドUSA』をお読みいただきたい――というのがエルロイ版元の人間として申し上げたいところ(出版社は営利企業ゆえ作家の将来も商業的成功によって計られてしまうのは避けがたいことなのです)ではありますが、「そこから先はどうすればいいの?」というかたもいらっしゃいましょう。 そこで、高校時代に『レクイエム』(ハヤカワ文庫HM)を読み、大学時代には『血まみれの月』(扶桑社ミステリー)で読書会