JR田浦駅から国道16号を南側に越える。住宅街を抜けて、ぐるりと輪を描く「のの字橋」を高台に上がると「浦賀道」に出る。旧東海道の保土ケ谷宿(横浜市保土ケ谷区)と三浦半島東端の浦賀をつないだ古道だ。 幕府の奉行所が享保5(1720)年に伊豆半島の下田から浦賀に移されたのを機に整備された。明治期に鉄道が開通し、沿岸部が埋め立てられるまでは江戸湾に入る船を監視する要路だった。嘉永6(1853)年にペリーが来航した際、佐久間象山や吉田松陰もこの道を通って浦賀に黒船を見に行ったとされる。 高台は南に約1・5キロ続き、「十三峠」と呼ばれる。標高は約100メートル。眼下に横須賀の軍港が見わたせる。 峠沿いに浦賀道を進むと、右手に高さ3メートルほどの「開拓記念碑」がある。戦後の食糧難を解決するため、雑木林に覆われた十三峠は県から開拓地に指定され、21人の開拓者が送り込まれた。その一人が関戸義元さん(