どれだけの人間がSFについやせるような無駄な人生を歩んでいるかはさておいて、今回は普通に推薦したい十篇を紹介しよう。 どれも入手しやすく面白い短編作品ばかりだ。できるかぎりネタバレをさけたが、どうしても真相にふれてしまう部分もあるので、その点は注意しておく。 『ドラえもん』5巻「ドラえもんだらけ」 のび太がドラえもんに宿題をたのんだ夜のこと。眠っているのび太の頭上をドラえもんやのび太が走り回る。そして次の朝、荒らされた部屋で傷だらけになったドラえもんを発見したのび太は、謎の真相をさぐろうとタイムマシンに乗り込む。 いかれたナンセンスギャグマンガにして、子供向けタイムスリップSFの金字塔。机の中のタイムマシンという道具ひとつ、廊下をはさんだ部屋ふたつ、登場人物ふたりという極めて限定された条件から、時間を超えたドタバタサスペンスが展開された。探偵役の捜査が事件に影響をおよぼすところは、観測者問