半導体材料でできた極めて小さい板バネを物理的に振動させ、その位相の違いで「0」と「1」のデジタル信号を表現する素子をNTT物性科学基礎研究所(神奈川県厚木市)が開発し、英科学誌「ネイチャー・ナノテクノロジー」電子版に13日発表した。この素子は現在実用化されている半導体の演算素子よりも消費電力が数百〜数千分の1程度と少なく、開発が進めば超省エネ型のコンピューターや電子機器を実現できる可能性がある。 新しい素子はガリウムヒ素を材料とし、中央部の厚みが毛髪の50分の1程度(約1・4マイクロメートル)となる橋桁状の板バネに成形。両端に電圧をかけると、板バネ部分が1秒間に10万回の周期で弓なりに振動する。 同研究所は電圧のかけ方の工夫により、最初に上へ振れる振動を「0」、下へ振れる振動を「1」と表現し、その状態を保持することに成功した。素子をつなげていけば、電卓やコンピューターのような演算回路を構成