結論から述べると、景気情勢や財政状況を考えた場合、消費税の増税は必要だが、時期は当面延期した方が良い。 2014年4月から3%、2015年10月から2%という消費税増税は、アベノミクスにより薄日がさしかけた日本経済を再び失速しかねない。 アベノミクス後の日本経済の動きをみると、民間消費、住宅投資、輸出は増加傾向にあるが、民間消費の増加は資産効果によるものであり、賃金や雇用増による消費増加という動きは未だ弱い。住宅投資の増加の多くは消費税の駆け込み需要によるものである。輸出増には円安が影響している。しかし設備投資の増勢は鈍く、本格回復とは言いがたい。消費税増税は、日本経済の回復の起点となっている民間消費や住宅投資に大きく水を指すものとなる。 また、アベノミクスの三本の矢の中でこれまでの日本経済に大きく影響を与えているのは、大胆な金融政策(第一の矢)である。日本銀行は2015年度をめどに2%程