夏なので『氷菓』、「愚者のエンドロール」編が見直したくなり、みていました。確かな良さがあった。せっかくなので適当に感想を書き留めておこうと思います。 折木奉太郎の死角 ある夏の日。千反田えるにつれられて、文化祭で上映されるという映画の試写会に向かった古典部の面々は、未完の映画というひとつの「謎」と対面する。その未だ書かれざるミステリー映画の結末を巡る物語が展開されるのが、「愚者のエンドロール」編というわけだ。 「愚者のエンドロール」編を端的に要約するならば、折木奉太郎が謎を取り逃がす物語だ、ということができるだろう。折木は推理によって一つの結論を導き出すものの、本来彼が掴もうとしていた脚本担当の本郷真由の意図を取り逃がし、まったく別の物語を創作して/させられてしまう。 それには様々な要因が考えられる。とりわけ、折木に狙いを定めて「推理作家」を演じさせようとした「女帝」入須冬実の巧みな誘導は