数値が有用であることは間違いない。状態を正しく把握するために数値はこのうえなく有用だ。しかし数値自体が目標とされてしまうと、とたんにその有用性は身を潜め、有害さを発し始める。 本書では、重大な犯罪の発生率を抑えるために本来重犯罪であるべき事案が軽犯罪扱いされる、といった露骨で、かつ倫理的に許しがたい不正が紹介されている。しかし、こうした「数値ハック」は至るところで行われているのではないだろうか。 全ては数値では測れないかのピータードラッカーは、名著「経営者の条件」の中でこう主張していた。 “根本的な問題は、組織にとって重要な意味を持つ外部の出来事が、多くの場合、定性的であって定量化できないところにある。 ”