旧日本海軍のパイロットとして米国本土を爆撃したただ一人の日本人で、戦後は土浦市で会社を経営した藤田信雄氏(1911~97年)の生涯を描いた本「アメリカ本土を爆撃した男」(毎日ワンズ、税抜き1400円)が出版された。著者で同市在住の元産経新聞記者倉田耕一さん(62)は「自ら爆撃した米ブルッキングス市(オレゴン州)から戦後に招待を受け、草の根の交流を続けた藤田氏の人生を知ってほしい」と話している。 倉田さんは、藤田氏が残した日記27冊を読み、遺族らに取材して波乱万丈の生涯を追った。藤田氏は1942年(昭和17年)、米ブルッキングス市の森林で山火事を起こすため、上空から爆弾を落とした。火災は広がらず、戦果はなかったが、本土への爆弾投下は米軍を震撼(しんかん)させた。 戦後、土浦市に復員した藤田氏は62年(昭和37年)、ブルッキングス市の招待を受けた。切腹覚悟で軍刀を持って渡米したが、「米国本土に