楽しい食事を終え、わたし達は神殿に戻る。 「神官長、冬の終わりにアーレンスバッハへ向かうのは雪が深すぎて大変でしょう? 馬車で荷物が運べないと思うのですけれど、どのように移動するのですか?」 神官長達だけならば、騎獣で空を一直線に駆けて行ける。けれど、たくさんの荷物はどうしようもない。 「ある程度は向こうが整えているはずだ。アウレーリアの時もランプレヒトやエルヴィーラが整えていたであろう? 今回、婚約期間も碌に置かずに婚姻となったのはアーレンスバッハの都合だ。春から夏にかけての衣装の類や文具類など、特に貴重ではない物に関してはアウブに頼んで雪が降る前に届くように送ってある。私は卒業式の後で身軽に向かい、雪が解けてから追加分の荷物を送ってもらうのだ」 二回目に送る荷物は貴重品の類が多く、本来ならば自分で管理しながら向かう。けれど、雪が解けるのを待って、それからアーレンスバッハに向かって移動す
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