今年6月からイタリアで開催されている「第55回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展」で、特別表彰を受賞した日本館の展示を手がけるアーティスト・田中功起。ロサンゼルス在住の田中は、日常のシンプルな行為に潜む複数のコンテクストを、映像やインスタレーションとして表現する作家として知られる。今回ヴェネチアで発表した「abstract speaking - sharing uncertainty and collective acts(抽象的に話すこと - 不確かなものの共有とコレクティブ・アクト)」展では、恊働作業といったコンセプトに注目が集まる一方、そのスタイリッシュな映像美にも目を奪われる。アート作品として、コンセプト以上に人々に訴えかける美しさはどのように作られているのか−−。