そつのない攻撃では決してなかった。ミスも少なくなかった。それでも、彼らは負けなかった。 北海(南北海道)が88年ぶりの甲子園ベスト4進出を果たした。彼らの戦いぶりで際立っていたのは、常にどんな時も冷静な精神状態を保つということだった。どんな試合展開になっても、試合をものにしていく強さがある。 エースでキャプテンを務める大西健斗は、こう語る。 「一喜一憂しないでプレーすること。そうすることで、試合中の物事を冷静に見られたり、プレーにつながっていると思う」 準々決勝の聖光学院(福島)戦は、初回に守備のミスから3点を失う苦しい展開だった。しかし直後に2点を返すと、じりじりと相手を追い詰めていく。流れが悪くなりそうなプレーがあっても落胆せず、目の前で起きるプレーを冷静沈着にこなしていく。そうやって、次第に流れを引き寄せていく。 ミスはある。しかし気がつくと試合をものにしている。 4回表、先頭の7番