元 新型コロナウイルス感染症対策分科会 会長 尾身 茂 2020年に国内で新型コロナウイルスの感染が確認されてから3年あまりが経ちました。この1100日のあいだを、私たち「専門家」がひとことで表現すると「葛藤」ということばしか思い浮かびませんでした。政府と専門家、あるいは専門家同士の間で意見が食い違うことも時々ある中で、市民に何を知らせるべきか、何がベストの選択なのか、「葛藤」し続けた日々でした。 私は、ことし8月に新型コロナウイルス感染症対策分科会の会長職を退きました。いつかまた起こりえるパンデミックに備えるために、新型コロナウイルスと向き合い続けた中で得た教訓をもとに少しお話したいと思います。 その中で、初期のころから私たちが再三にわたって強く政府に求めてきたのは、PCRなどの検査キャパシティの強化です。 2020年2月、政府の専門家会議の初会合で、「一般の人は37.5度以上の発熱が4
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