将棋や囲碁の手を何十手も読むように、コンピューターが何十通りもの設計案を試行錯誤して検討する。設計者はその結果を見て、不十分ならコンピューターにやり直しを命じ、良いものができたらそれを採用する。こんな「コンピュテーショナルデザイン」の利用範囲が大きく広がり始めている。 設計は、相反するいくつもの要求をなるべく高い次元で実現する作業だ。設計案を考えて、機能や性能を得られるかどうか検証し、課題を解決できる設計案を再び考える、という試行錯誤が必要になる。これまでは、たとえ3D-CADやシミュレーションを駆使したバーチャルな設計であっても、設計案自体を考えるのは設計者の仕事だった。 しかし、コンピュテーショナルデザインではコンピューターに設計案を考えさせる(図1)。そこには、人の思考の限界を超えられる、という期待がある。