毎年のように日本各地で頻発し、人々の命を奪っていく自然災害。ひとたび大きな災害が発生すると、報道機関の目は、甚大な被害が発生したところに集中する。また、災害直後の行政や専門機関の対応の是非を問い、被害を想定していなかったことなどを批判することを繰り返してきた。 災害を「検証」するとはどういうことか──日本災害情報学会などが東京大でシンポジウム このような傾向に対し、京都大学防災研究所巨大災害研究センターの矢守克也教授は10月下旬に東京大学で開かれた日本災害情報学会・日本災害復興学会の合同大会で「減災のためには、災害に関する報道、研究もパラダイム・チェンジ(根本的転換)が必要ではないか」と問題提起した。その提言を紹介する。 潜在的な事例にも注目を 今年7月に岡山、広島、愛媛県などで甚大な被害が生じた平成30年7月豪雨(西日本豪雨)。報道の多くは、岡山県倉敷市真備町地区や広島県呉市など、極端な