感染症にかかったとき、いろいろの免疫細胞が出動して病原体と戦ってくれます。その免疫反応の司令塔の役割をしているのが、T細胞です。ひとつひとつのT細胞は、実はごく限られた相手しか攻撃できないのですが、体内には膨大な数のT細胞があり、全体としてはどんな病原体でも対応できるのです。 T細胞は、病原体が侵入してからつくられるのではありません。会ったこともないような病原体に対してでも、それを見分けて攻撃できるT細胞はすでにつくられていて、待ち受けているのです。見たこともない病原体を攻撃できるT細胞。そんなT細胞は、一体どこで、どのようにしてつくられるのでしょうか。 T細胞は、T細胞受容体というタンパク分子を表面に出しています(図1)。T細胞受容体は侵入してきた異物を見るためのT細胞の「目」にあたります。この受容体は、ひとつの細胞には1種類しか出ていません。でも、細胞ごとに形が違う受容体を出していて、