『人口論』どおりにならなかった現実世界 経済学をある程度かじった人なら、ロバート・マルサスの名前を知っているだろう。アダム・スミス、デイビッド・リカードなどと並ぶイギリスの古典派経済学者の1人で、18世紀を代表する経済学者の1人だ。 マルサスの代表作である『人口論』(1798年初版)は、次の2つの自然法則を基に著されている。 (1)人が生きていくためには食料が不可欠である (2)男女両性の性欲は今日同様いつまでも大きく変わることはない そしてマルサスは、人口は制御されない限り等比数列的に増えるのに対し、食料は等差数列的に増えるにすぎない、とした。つまり、人口は1、2、4、8、16、32とネズミ算的に増えていく。これに対して食料は、1、2、3、4、5、6と増えていくにすぎない。 この結果、供給される食料以上に人口は増えることはないという理屈だ。 これに対して、現実はどうなったか。マルサスの理