<長年にわたるマフィアとの攻防が過激派のテロ対策に生かされているというが、警察の手柄だと胸を張れない事情も> イタリア政府に難民認定を申請していたガンビア人が4月、ナポリで逮捕された。この男はテロ組織ISIS(自称イスラム国)に忠誠を誓う動画をメッセージアプリで配信。無差別に通行人をはねる自動車テロを計画していた疑いも持たれている。 この1件が示すように、イタリアにも相当数の過激派が潜入している。にもかかわらず、なぜか重大なテロは起きていない。フランス、ドイツ、イギリスなど他の欧州主要国でテロが相次いでいるのとは対照的だ。 この現象には、安全保障の専門家らも首をかしげている。 政府が万全のテロ対策を取っているからだ――多くのイタリア人はそう胸を張るだろう。だが実情はもっと複雑で、自慢できるような状況ではなさそうだ。 当然ながら、この国の治安当局もテロ封じ込めの努力はしている。ミラノに本部を