そういえば以前、『ホット・ゾーン』のリチャード・プレストンに、「誰かおすすめのサイエンスライターは?」と聞いたとき、真っ先に名前を挙げてくれたのがミチオ・カクだったっけ。 恥ずかしながら、ミチオ・カクを読んだのはこれが初めて。びっくりするくらいわかりやすいし、とにかく全体の構成が見事。ひも理論やM理論の話なのだから、いくらでも難解になりそうなのに、最初から着実に読んでゆけばきちんと最後まで到達できるしくみ。SF作品への言及も多い。 既刊の『新版アインシュタインを超える』などをぱらぱらとめくってみて、構成がほぼ同じだということに気づいた。つまり本書の構成は、ミチオ・カクが長い年月を掛けて熟成してきた一種の名人芸なのだろう。ということは、ミチオ・カク初心者はいつも彼の最新作一冊だけを読めばいいわけだし、ミチオ・カクの愛読者なら常に新刊を待ち望んでいてよいということなのだ。 ジェントルな語