南米大陸を流れる大河、雄大なるアマゾン川をまるで『地獄の黙示録』のウィラード中尉のように、ただひたすらに遡ると、次にはとてつもなく深く険しいジャングルの密林を切り開き、そのまた頭上に高く聳える急斜面の山を越えた向こう岸に無尽蔵にあるゴム林を開拓して、オペラ劇場建設の資金を作るという天才バカボン並みの阿呆な道程を描いた作品です。 ただ普通の旅とは違い、アマゾンの自然と本来ならば相容れない文明の利器である巨大な蒸気船を、支配者階級であるヨーロッパの人間が首狩り族のインディオを使役し、機械力なしで、つまり彼らの人力でエイコラエイコラと滑車を作り、何百人もの原住民たちがひたすらにロープを引き続け、ついには山の頂上まで運び上げて行くのです。 ロケ地にはペルーとエクアドルが選ばれました。古代エジプトの巨大なピラミッドを作っていた時代ではなく、ほんの100年近く前の話です。このような、とんでもなくバカげ
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