天皇という仕事が窮屈そうなのはなんとなく想像できますが、それではいったい、法律上、天皇の人権はどこまで制限されているのでしょうか。今日は、天皇という極限の生き方について考えます。 中ごろ、市正(いちのかみ)時光とふ笙(しやう)吹きありけり。茂光といふ篳篥(ひちりき)師と囲碁を打ちて、同じ声に裹頭楽(くわとうらく)を唱歌(しやうが)しけるが、面白く覚えけるほどに、内よりとみの事にて時光を召しけり。 御使ひいたりて、この由を言ふに、いかにも、耳にも聞き入れず、ただもろともにゆるぎあひて、ともかくも申さざりければ、御使ひ、帰り参りて、この由をありのままにぞ由す。いかなる御いましめかあらんと思ふほどに、「いとあはれなる者どもかな。さほどに楽にめでて、何事も忘るばかり思ふらんこそ、いとやむごとなけれ。王位はくちをしきものなり。行きてもえ聞かぬこと」とて涙ぐみたまへりければ、思ひの外になむありける。