日韓外相会談後、韓国の朴大統領を表敬訪問した日本の岸田外相 Kim Kyung-Hoon-REUTERS 第1回目のコラムとしては重いテーマとなるが、直近の重要な動きなので慰安婦問題に関する日韓の合意について書いてみたい。 日韓国交50年の節目も終わりが近づいた2015年12月28日の午後3時半、岸田文雄外務大臣と尹炳世外交部長官は共同記者発表を行い、慰安婦問題が「最終的かつ不可逆的に解決される」との合意を発表した。これまでの両国外交当局の努力、そして安倍晋三首相と朴槿恵大統領の政治決断をまずは高く評価したい。 慰安婦問題は1990年代以降、日韓関係の大きな懸案であり続けてきたが、特に2011年末以降は、日韓両国の対応を「外交戦」と捉え、「勝ち負け」で論じるゼロサム的発想が両国世論を支配しつつあった。しかし今回の合意は、日韓両政府がそのような発想からの脱却を実践したことに大きな意味がある。