「立派なヒーローとは、どんなヒーローだろう?」。能力を得たイギリスの青年ヘンリー・フォッグはそう自問する。 1932年、ドイツの科学者フォーマフトがおこなった「蓋然性への干渉」実験によって、大きく歴史が揺らぐ。フォーマフトの波動は全世界に広がり、原子以下のレベルで遺伝子に影響を与えた。ごく微細な変化だが、それによって能力を発現させる者があらわれる。彼らはドイツ語ではユーバーメンシュ、英語ではオーヴァーマン(超人)と呼ばれた。アメリカは〈リーグ・オブ・ディフェンダーズ〉なる超人チームを組織して、その活躍をメディアで大々的に喧伝する(ニュース映画での彼らの扱われかたは、まるでアニメ「TIGER & BUNNY」劇中の「HERO TV」そっくりだ)。それを観てフォッグは違和感を覚える。これが立派なヒーローなのか? 彼自身はイギリスの軍務局にスカウトされ、保守的な上司(彼も超人)オールドマンのもと