少し前から、小泉悠あたりの発言で、一人一人の命よりももっと大切なものがある、国家の主権と独立を失うことは国民の命を失うことよりも重大で、どれほど犠牲を出しても最後まで戦って守り抜かねばならないものだという主張が連発されている。安倍内閣で国家安全保障局次長をやった兼原信克が、3/16のプライムニュースの席で小泉悠の発言に相槌を打ち、「そんなこと当たり前の話ですよ」と念を押していた。この問題が非常に気になる。とても気に障るけれど、焦点を当てて問題提起している声がほとんどない。 戦後の日本人はこの問題に非常にナーバスで、関心が高く、憲法9条をめぐる議論の中心にこの根本的な思想対立があった。小田実は個人の命が何より大事だと強調し、対して石原慎太郎は国家や共同体のために個人が命を捨てることこそ大切で、そこに人の生きる意味があるのだと反論した。戦後日本の大きな右と左の対立軸であり、長く果てしなく続いた