超ポピュリズム時代の希望 本誌連載『革新幻想の戦後史』(中央公論新社)で今年度「読売・吉野作造賞」を受賞した関西大学東京センター長の竹内洋氏による新たな大衆社会論。 竹内氏は、現代日本人に特徴的な性向を、「妬み心」や「劣情」を表に出すのをはばかる矜持(きょうじ)や品格を失ってしまったことにみる。優遇される他者を引きずり降ろしたいという「妬み心」「劣情」は従来、たとえば未来への期待感で抑えられていた。しかしそれがバブル崩壊による右肩上がり経済の消滅で失われてしまった結果、格差を絶対悪とみなす「平等主義」や「人権」という「政治的正しさ」がはびこり、「人々はこうした『正しさ』の力を借りて疚しさなく、堂々と劣情を発揮できる社会になってしまった」。 そうして「妬み心」や「劣情」が野放しになった末に日本が行き着いたのが「超ポピュリズム」である。従来のポピュリズムとも異なる理念なき究極のポピュリズムの病