アオリヒトデは狡猾な動物である。 縄張り争いに当たって自ら矢面に立つことはなく、他の生物を鉄砲玉にするのだ。 鉄砲玉にされる動物アクスヘッドシャークは、アオリヒトデの幼生に寄生されて、 アオリヒトデが攻撃したい敵に喧嘩を売るように行動を制御される。 寄生したアオリヒトデたちは目と脳に集中しており、被寄生者の目を曇らせ、攻撃的にする。 それだけではなく、ねらい通りの行動をすれば脳内麻薬を分泌して「御褒美」まで与える。 考え方によってはアオリヒトデに寄生されることが御褒美ですらあり、 そこまで考えれば寄生ではなく共生と言えるのかもしれない。 だが物質的な利益をえるのはもっぱらアオリヒトデで、とりついたアクスヘッドシャークが反撃でやられても 巻き込まれるのは幼生なので被害は小さい。 そして、アクスヘッドシャークが勝てばすばやく縄張りを広げることができるのであった。