やっと四人で打ち合わせるチャンスが巡ってきた。布で周囲から区画された場所に案内されて、真琴は他の三人に小声で話しかけた。周囲にいる『王子様』の部下は当然聞き耳を立てているが。 「ともかく元の世界に帰る方法を探しましょ。異論は?」 女性陣は頷いたが白一点の男子は何か物言いたげだった。見つめられた彼――文武は口を開いた。 「ないけれど、すぐに帰れると思う?」 真琴は内心苛立った。自分だって簡単に帰れるとは思っていない。時間が掛かるからこそ大方針が必要なのだ――流石に少し自分も冷静さを欠いているかもしれない。息を整えて説明する。 「簡単には帰れないでしょうね。でも、ここに私達の立場を分かってくれる人はいないんだから、せめて四人全員は力を合わせましょ」 正論だけに反対できないことを言う。みなまで口にはしないが、真琴にはいくつか懸念があった。最大のものが姉弟とその他で派閥に分かれてしまうことである。