RESEARCH ゲノムインプリンティングとホ乳類の進化 石野史敏東京医科歯科大学難治療疾患研究所エピジェネティクス分野 生物がこれだけ多様であるのに、全ての生きものがもつ遺伝情報システムが共通していることは、進化が実際に起きたことを示す最大の証拠だろう。しかし、“どのように進化が起きたか”、すなわち進化の機構を科学で証明するのは難しい。歴史性のある一回性の現象(宇宙の起源等も同じ)を扱うには、従来の科学がもつ“実験による再現性を基にした枠組み”とは別の思考の枠組みが必要とされるのである。ここで、“生物のもつゲノムのはたらき、つまり機能がその生物を特徴づけている”という考え方をするなら、“進化は新しいゲノム機能の獲得によって起きる”という進化に対する新しいアプローチが見えてくる。すなわち、ある一群の生物に特徴的に見られるゲノム機能がどのように獲得されたかを知ることが、進化機構を知る上での鍵