多くの日本人の所得が低迷している最大の原因は、この国の少数の真の富裕層にあるのではなく、企業所得と家計所得の差である。企業は「内部留保」、つまり賃上げや投資、あるいは税金で経済に還元されない利益をため込んでいるのだ。 もし、企業がその余剰資金を賃金に回していたら、今日の生活水準は大幅に向上し、消費者の需要も高まっていただろう。中小企業でも同じパターンがみられており、ため込んだ現金が増える一方で、労働者の報酬は減少した。 日本企業はバブル崩壊以降、ずっと低金利なのに債務の最小化をひたすら進めた。この間、人員削減などのリストラに取り組んだものの資金調達をしながら新分野に挑戦することを躊躇 ちゅうちょした。 企業が成長するにはリストラして余剰となった、おカネやヒトを新しい事業分野へと再配分して、新陳代謝しなければならない。しかし、日本の経営者の多くは再配分する新事業を見いだせず、身の丈を縮めたに