Kabir Sehgal著「貨幣の『新』世界史:ハンムラビ法典からビットコインまで」、原題「Coined: The Rich Life of Money and How Its History Has Shaped Us」。一見、金融関連の本と思いきや、表題の問いを追求する視点の多さと議論の多様性が素晴らしく、内容を何度も読み返すと、バブル崩壊、リーマンショック、イギリスによるEU離脱、三菱東京UFJ銀行「独自仮想通貨:MUFGコイン」の発行計画、ビットコインの正体、シェアリングエコノミーの本質や未来像まで、実に幅広く深く考えられるとも思った。 まず、著者は以下のような議論から始める。貨幣の起源を紐解いていくと、もともと貨幣は「生き残りをかけた生物同士の共生関係」からスタートしているという。まずもって、この生物学的視点と出合った時、これまでの自分の認識「貨幣は物々交換の限界から解放するため